オゾン層破壊と地球温暖化の原因となるフロンを使わない冷蔵庫が、日本でも今年に入ってから相次いで発売されている。冷媒に可燃性の炭化水素(イソブタン)を使うこの技術は、ドイツで1990年代に開発され、普及した。日本は高温多湿な気候で、冷蔵庫に霜取用ヒーターを装備しているため、冷媒のイソブタンが漏れたとき、この霜取用ヒーターが着火源となる恐れがあり、開発が遅れたといわれる。そこで国民生活センターが、ノンフロン冷蔵庫と従来のフロン冷蔵庫の性能、環境性、安全性等をテストしたところ、ノンフロン冷蔵庫はフロン冷蔵庫と同等の性能を持ちながら、環境にはよりやさしく、安全上も問題ないことがわかった。
テストしたノンフロン冷蔵庫は、平成14年2月時点で販売されていた国内品2銘柄と輸入品2銘柄。庫内内容量がほぼ同等のフロン(CFC)冷蔵庫2銘柄を参考品とした。輸入品2銘柄は冷気を熱伝導と自然対流で対流させて冷却する「直冷式」、日本製4銘柄は冷気をファンにより強制的に循環させる「強制循環式」だ。
性能
庫内温度や冷却速度の違いを調べたところ、いずれも冷蔵室は5℃以下、冷凍室は−18度以下で、JISの基準を満たしていた。
炭化水素を冷媒としたことで、ノンフロン冷蔵庫の消費電力量がフロン冷蔵庫より大きくなっていないか調べたが、ノンフロン冷蔵庫のほうがフロン冷蔵庫より3%少なく、省エネ性に優れていた。
運転時の騒音を比較したが、冷媒の種類に関わらず、静かだった。
環境性
消費電力量と冷媒の排出に着目して、冷蔵庫の平均使用年数12年間における地球温暖化への影響の違いを調べた。消費電力量をCO2換算温室効果ガス量として算出し、内容積や機構が同じである松下の機種で比較したところ、ノンフロン冷蔵庫のほうがフロン冷蔵庫より小さかった。冷媒は廃棄後回収されるが、製造時や使用時にもわずかに排出されている。そこで冷媒の排出によるCO2換算温室効果ガス量を算出したところ、封入量及び温暖化係数ともに小さいイソブタンを使用しているノンフロン冷蔵庫がフロン冷蔵庫の約40分の1と小さかった。
断熱材にはいずれも温暖化係数が小さいシクロペンタンが使われていた。
安全性
万が一冷媒が漏れたとき、霜取ヒーターで着火するおそれがないか、国内製ノンフロン冷蔵庫2銘柄のヒーター表面温度を測ったところ90〜340℃で、冷媒の着火温度より100℃以上低かった。ちなみにフロン冷蔵庫の霜取りヒーターも測定したが、約470℃とかなり高かった。
ノンフロン冷蔵庫であることがひと目でわかるような本体表示は、修理・廃棄時の取扱い上の注意を促す意味でも必要だ。国内製2銘柄にはわかりやすいロゴマークがあったが、外国製2銘柄にはなかった。また使用冷媒の「イソブタンR600a」は全銘柄とも表示していたが、「爆発・発火」等の警告表示を本体にしていたのは、国内製2銘柄と外国製1銘柄のみだった。
〈消費者へのアドバイス〉
・ 年間500万台出荷される冷蔵庫のうちノンフロン冷蔵庫は月数千台とまだ少なく、機種も限られているが、地球環境にやさしいので検討の対象にするとよい。
・ 直冷式冷蔵庫の霜取りの際は氷を落とすのにアイスピックなどを使わないこと。冷却器を傷つけ、冷媒漏れなどの事故の原因となる。
・ 省エネの観点から@定格内容積の大きい冷蔵庫は消費電力量も大きいので、必要以上に大きなものを買わないA日が当たる場所に置くのは避け、放熱が良くなるよう必要な隙間を開けて設置するB冷蔵庫の冷やしすぎに注意する。
〈業界への要望〉
・ ノンフロン冷蔵庫の機種を増やし、広く消費者に行き渡るための普及啓発活動を望む。
・ 今後、フロン冷蔵庫とノンフロン冷蔵庫が混在することになるので、修理や廃棄の際に問題を生じないよう、ひと目で区別がつくラベルや注意表示などの安全対策を望む。
・ 冷蔵庫に限らずエアコン等
のフロン冷媒を使用した家庭用機器もノンフロン化するよう望む。
〈行政への要望〉
・ 今回のテスト品では使われていなかったが、国内の冷蔵庫の中には断熱材に代替フロン(HCFC)を使っているものがある。冷蔵庫のフロン冷媒は家電リサイクル法に基づく政令で回収が義務づけられたが、断熱材のフロンについても同様に義務化するよう望む。
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