新PIO‐NET移行で消費者庁新たな支援策
専用端末に代わるパソコン購入費
10分の10補助交付金の対象に
2026 年 10 月から PIO‐NET (全国消費生活情報ネットワークシステム) の専用回線と専用端末が廃止されインターネット回線に変更される問題で、 消費者庁は 12 月 27 日、 返却する専用端末に代えて相談員が使用するパソコンの購入代金や導入時に必要なセキュリティ対策費用も 10 分の 10 補助の交付金の対象にすると都道府県に通知した。 これまで、 自治事務で用いるパソコン購入費用等は対象外としてきたが、 厳しい財政状況の中で 「相談員の人数分購入することが難しい」 「消費者行政予算の中で数十万円の負担が相当大きく厳しい」 など、 パソコン購入費も交付金の対象とすることを求める意見が地方自治体から出ていた。 加えて、 民間委託や指定管理者制度を採用し新たな回線敷設が必要になる自治体は、 交付金の対象になる回線敷設費の他に相当額のセキュリティ対策費用が必要になる。 「全額市費で負担するのは大変厳しく非常にありがたい。 消費者庁は本当に頑張ってくれた」 「私たちの声が届いた」 「予算が成立すれば感謝しかない」 など高く評価する声が自治体から出ている。 その一方で、 「相談者は契約書などを持って来所する高齢者が多く、 相談員も高齢化し、 PIO‐NET 刷新による住民メリットが見えない。 セキュリティ管理費が毎月必要になり負担が大きい」 として新 PIO‐NET から離脱する方針を決定していた小規模自治体もあった。(相川優子)
消費者庁2025年度予算案
141.1億円、前年度比2.4%増
機能性表示食品GMP立入検査1.6億円
消費者庁の 2025 年度予算案が 12 月 27 日、 閣議決定された。 復興特別会計を除く一般会計は 141.1 億円 (前年度 137.8 億円) と前年度比 2.4%増。 小林製薬の紅麹サプリメントによる甚大な健康被害を受け、 新たにサプリメント形状の機能性表示食品製造工場に義務付けた GMP の立入検査や、 新規関与成分の安全性チェック機能強化などのための 1.6 億円を盛り込んでいる。 消費者庁の定員は、 食品表示課の体制強化9人、 公益通報に対する内部通報対応体制調査等のための体制強化2人など 18 人の増員 (合理化減5人、 13 人純増) が認められ、 478 人になる。(相川優子)
第5期消費者基本計画素案で意見募集
毎年度の工程表廃止、3年目途中間点検
OECD閣僚宣言に沿ったデジタル対応を
消費者庁は 12 月 25 日、 2025 年度から5年間の 「第5期消費者基本計画」 素案を公表し、 意見募集を開始した。 毎年度作成されてきた工程表を廃止し、 3年目途の中間点検に変更。 「毎年度行う検証・評価・監視」 の文言は消え失せた。 「デジタル技術の飛躍への対応」 の中で、 法改正してもなお相談件数が高止まりしている詐欺的定期購入への法執行を好事例に挙げ、 消費者委員会が建議や意見を出した 「SNS・チャット勧誘」 とともに法執行やスクリンショットの保存を呼びかけることを今後の具体策に盛り込んでいるが、 OECD 消費者政策閣僚会合で日本も採択した閣僚宣言には、 「デジタル市場における進行中および新たに発生する消費者被害を特定し、 対策を講じる」 ことが盛り込まれていたのではなかったのか。 「目指すべき社会の姿」 の1つに 「全ての世代における消費者力の実践」 を掲げ、 本計画期間中の目標に 「全ての消費者に対してデジタルリテラシーの確保のための教育を施す仕組みが構築・実践される」 という壮大な構想を掲げているが、 誰がどこで実施し、 達成率をどう評価するのか。 個別施策を含め KPI (重要業績評価指標) は事前に公表されるか。 これらの質問に消費者庁は明確な回答をしない。 意見募集は1月 23 日 (郵送の場合は同日必着)まで。(相川優子)