2022年12月15日号掲載
ジャパンライフ9回目の債権者集会
「1%超えるが2%に届かず」配当見通し
終結せず、来年5月末送金予定
ジャパンライフの9回目の債権者集会が 12 月7日、 東京地裁中目黒庁舎であった。 山口隆祥元会長個人の破産管財業務終結がずれ込んだため、 今回も終結できなかった。 3000 万円程度の回収が見込まれるため、 次回、 3月 22 日の債権者集会で破産決定を行い、 配当率は、 「1%を超えるが、 2%には届かない」 との見通しが報告された。 5月末ころに配当金が送金される見通しだが、 破産手続き開始決定 (2018 年3月1日) から配当まで、 5年以上かかることになる。 解約を阻止したり、 ノルマを達成したりした場合の奨励金について、 幹部社員への支払いは認められなかったが、 一般社員には支払われることになった。 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は 「被害者からすると納得がいくものではない」 と話している。(相川優子)
奨励金支払い不可、幹部のみ
破産開始手続から5年以上
前回、 今回で終結する見通しが示されていたが、 山口元会長の妻名義の貸倉庫から現金が見つかったことから、 慎重にさらに隠し財産がないか、 財産開示命令の申し立てを行ったことで、 山口元会長個人の破産管財業務が終結しなかった。 今後、 3000 万円程度の返金が見通され、 配当金の送金手数料なども大きな額になることから、 数か月後の返金を待ってから一括で配当する方針が選択された。
被害者よりも優先してジャパンライフの社員に支払われる労働債権のうち、 破産管財人が認められないと主張していた奨励金について、 労働者健康安全機構から債権者申し立てが行われ審理が続いていたが、 和解交渉が決着した。
地方マネージャー、 エリアマネージャー、 店長、 店長代理、 店舗責任者の奨励金部分約 700 万円については、 「違法性を認識し得た」 として支払いが認められなかった。 しかし、 一般社員の奨励金約 2300 万円は支払われる。
石戸谷弁護士は、 「被害者への配当は1%から2%という状況で、 加害者側の社員には給与を含め、 奨励金が満額支払われるのは納得がいくものではない」 と、 批判している。
今回、 山口個人の破産手続きに必要だった予納金 1600 万円が還付され、 現時点の回収額は、 前回の 22.69 億円から増え、 22.83 億円になった。 国税から消費税分 22.3 億円が返還されたことで、 配当が可能になった経緯がある。
すでに、 未払いの従業員給与やボーナス 3.77 億円、 未払いの税金 1.76 円は支払い済みで、 今後、 2.21 億円の労働債権が優先して支払われる。
届け出られた一般破産債権は、 被害者 6547 人 (うち香港 259 人) の約 1517 億円、 金融機関や取引業者など 316 事業者 (うち香港5事業者) の約12 億円の計約 1529 億円ある。
「納得いくものではない」
「消費者庁に解散命令権を」
石戸谷豊代表は 「破算管財人の尽力で、 消費税 22.3 億円が還付されたことで配当は可能になったが、 その額はあまりに少ない。 業務停止命令を出しても何度も違反を繰り返すような事業者に対しては、 迅速に被害を止め財産を保全する仕組みが必要で、 消費者庁による解散命令制度の創設が不可欠」 と訴えている。
ジャパンライフ事件を受け、 預託法を改正して、 販売から始まる販売預託商法を原則禁止とし、 違反した場合の無効を盛り込んだ。 改正預託法が本年6月に施行されても、 過去の被害は救済できない。 いまだに同様の被害を止めることすらできていない。
次回債権者集会は、 3月 22 日 (水) 11 時から、 東京地裁中目黒庁舎 103 債権者集会室 (東京都目黒区中目黒2丁目4‐1) で開かれる。
山口元会長、懲役8年確定
東京高裁 控訴を棄却
東京高裁は 11 月 18 日、 詐欺罪に問われたジャパンライフ元山口隆祥被告 (80) の控訴を棄却した。 伊藤雅人裁判長は、 「詐欺罪を認めた1審判決に誤りはない」 との判断を下した。 高裁判決に対して山口は上告せず、 東京地裁の一審判決、 懲役8年が確定した。
伊藤裁判長は、 「2010 年には債務超過で、 新規融資も受けられず、 返金申請も増加していた。 もともと持続可能性を欠き、 いずれ破綻必至のものだった」 と指摘。 「顧客をないがしろにしてでも、 会社を継続させたのは強い非難が妥当。 刑事責任も重大で、 一審の量刑に不合理なところはなく、 支持することができる」 と述べた。
ジャパンライフによる消費者被害は約 2000 億円とされているが、 この裁判では破綻直前の 2017 年7月から 12 月にかけて、 元本保証や配当金支払いを継続できないと認識しながら、 顧客延べ 23 人から計約1億 6500 万円をだまし取ったとして、 詐欺罪で懲役8年の判決が言い渡されていた。