デジタル研究会報告書に57消費者団体が異例の意見書
「消費者視点」なく特商法改正を否定
報告書に基づかない消費者行政要請
全国 57 の消費者団体などで構成される 「特定商取引法の抜本的改正を求める全国連絡会」 は9月 12 日、 消費者庁 「デジタル社会における消費取引研究会」 が今年6月 19 日にまとめた報告書について、 「消費者・生活者の視点」 に立たず法改正の必要性を否定するものとして、 この報告書に基づいて今後の特定商取引法分野の消費者行政を進めないよう求める異例の意見書を出した。 9月 18 日、 同団体が主催した意見交換会で、 6月末に着任した遠藤幹夫・消費者庁取引対策課長は、 「このような抗議の意見書が出てくるという対立構造は、 あってはならない状態で、 消費者行政にとっても望ましくない」 との認識を示し、 「要望事項について真剣に議論し、 正常化させたい」 と語った。 「役所の仕事は利害調整で、 団体の要望を 100%実現することはおそらく難しいと思うが、 十分なコミュニケーションと双方が納得した上で進めるプロセスが重要」 との考えを伝えた。 138 人が参加した。(相川優子)
デジタル研究会等に意見書
委員選任し直し、検討し直し求める
不招請勧誘規制を求める関西連絡会
「不招請勧誘規制を求める関西連絡会」 (世話人代表 国府泰道弁護士) は 8 月 20 日、 「デジタル社会における消費者取引研究会」 は、 消費者庁に設置された研究会でありながら、 消費者を代表する委員、 消費者法の研究者もおらず、 その構成が偏っているため不適切で、 その報告書の内容にも看過できない問題があるとして、 新たに委員を選任し直し、 改めて検討を行うことなどを求める意見書を、 石破茂首相、 伊東良孝消費者相らに出した。(相川優子)
デジタル研究会の提言極めて遺憾
特商法改正を否定 日弁連も意見書
日本弁護士連合会は9月 18 日、 消費者被害相談が激増している詐欺的定期購入や SNS 型投資・ロマンス詐欺を含むインターネット取引等の消費者被害に対応するため、 消費者保護の基軸で特商法改正を速やかに行うべきとする意見書を、 堀井奈津子消費者庁長官に出した。
「デジタル社会における消費取引研究会報告書」 が提言した政策の基軸で、 「極力私人間の契約・取引に対して国家が干渉せず、 個人の意思を尊重する原則の下での制度設計とすべき」 「健全な事業者にまで反射的に一律規制を及ぼしていることによる、 消費経済市場への影響等を十分に考慮することが必要である」 としているのは、 消費者保護のための特商法の改正を否定することにつながりかねないもので、 消費者目線の消費者行政を担うべき消費者庁の在り方として極めて遺憾であると言わざるを得ないと厳しく批判している。(相川優子)