機能性表示食品の検証報告書開示請求訴訟
最高裁判決受け 差し戻し審判決前に
消費者庁 検証事業報告書を公表
消費者庁は9月9日、 これまで開示してこなかった機能性表示食品の検証事業報告書をメーカー名や商品名も含め全て公表した。 最高裁の判決を受け、 高裁の差し戻し判決が出る前に、 消費者庁が判断した。 これにより開示請求訴訟は取り下げられ、 東京地裁への提訴から7年半を経て、 ようやく検証結果とデータの考察内容、 報告書が指摘した問題点が明らかになった。 同日公表されたのは 2015 年度分だが、 順次各年度の報告書が公表される。 消費者庁の堀井奈津子長官は10 日の定例会見で、 本年度行われる 1000 件の買上調査の結果についても、 メーカー名や商品名を含めてその結果を 2015 年度報告書と同様の形で公表する方針を示しており、 この提訴は消費者の知らされる権利、 選択する権利の実現に大きな役割を果たした。(相川優子)
最高裁 宇賀克也裁判長補足意見
「開示もたらす多方面の利益考慮を」
最高裁第3小法廷 (宇賀克也裁判長) は6月6日、 2015 年度機能性表示食品の機能性関与成分に関する検証事業報告書の情報公開開示請求訴訟で、 「高裁の判決を破棄し、 差し戻す」 判決を出している。 宇賀裁判長は補足意見の中で、 「開示がもたらす支障について、 抽象的なおそれを過大に評価しながら、 開示がもたらす公益については、 全く考慮した形跡が窺われない」 と指摘。 分析方法が不十分とされた理由が開示されることで事業者の予測可能性を向上させ、 事業者全般のメリットは大きい。 消費者庁の行政コスト削減、 研究者が資料を得られるメリットにもつながる。 国民一般にとっても消費者行政の透明性を向上させ、 信頼を高めることができると述べている。(相川優子)
食品中のプベルル酸規格基準策定へ
チーズ、サプリ等汚染状況を調査
消費者庁は9月4日、 食品衛生基準審議会の食品規格等部会を開催し、 小林製薬紅麹サプリによる健康被害で原因物質と推定されているプベルル酸について、 食品中のプベルル酸の規格基準策定に向け、 食品中のプベルル酸の汚染状況を調査することを明らかにした。 ジュース、 ドライフルーツなどの果実加工品、 ブルーチーズ、 カマンベールチーズ、 サプリメントなどを例に挙げている。(相川優子)