高齢者誤認させ契約させる定期購入
第3類医薬品、機能性表示食品にも拡大
悪質業者 履歴から広告探せない対策
高齢者らに1回限りのお試し価格と誤認させ、 定期購入契約をさせる手口が第3類医薬品や機能性表示食品にまで拡大している。 SNS 広告では 「1回限り・解約不要」 などと表示されていたと消費者が訴えても、 履歴から過去の広告を見られないよう対策を取っている悪質事業者も出ている。 2022 年6月の特商法改正後も相談件数は高止まりし、 行政処分は改正法施行後3年弱でわずか9件。 2024 年度の相談件数は約8万 9000 件、 契約購入金額は9億 9900 万円に上る。 60 歳以上の相談が 61.4%を占めるのも大きな特徴だ。 定期縛りなしの契約後に 「クーポン」 や 「さらにお得」 などのボタンを押すと、 数回の定期縛りに移行する 「アップセル」 の手口について、 消費者庁は別契約と説明し、 行政処分は及んでいない。 全国消費生活相談員協会から、 抜け道をつくらない抜本規制を求める意見が出ている。 消費者庁はこのまま手をこまねいていていいのか。(相川優子)
自民党消費者問題調査会が提言
交付金活用期限到来で
後退招かない必要な対策を
消費生活相談員の人件費などに継続的に活用してきた国の交付金が 2025 年度に多くの自治体で終了することを受け、 自民党消費者問題調査会 (船田元会長) は5月 21 日、 地方消費者行政の後退を招くことがないよう、 必要な対策を講ずることを求める提言を伊東良孝消費者相に手渡した。 活用期限到来への対策にとどまらず、 「待ち」 の相談対応から 「攻め」 の消費者行政に取り組むことができるよう予算の拡充を求めた。 消費生活相談員の担い手確保や、 計画的な人材育成、 専門性に見合った処遇改善に取り組むことも提言している。(相川優子)
「住み続けられる」は本当?!
住宅のリースバックトラブル急増、国セン
持ち家を売却した後に賃貸借契約をして同じ家に住み続ける 「リースバック」 のトラブルが、 近年急増している。 PIO‐NET (全国消費生活情報ネットワークシステム) に寄せられた相談件数をみると、 2019 年度に 24 件、 2020 年度に 56 件、 2021 年度に 85 件、 2022 年度に 129 件と徐々に増加し、 2023 年度には 234 件と急激に増え、 2024 年度では 239 件にのぼり、 契約当事者の約7割を 70 歳以上の高齢者が占める。 相談では、 「何時間も勧誘され続けた」 や 「マンションを売るよう、 執拗 (しつよう) に勧誘された」 などの勧誘の仕方に問題があるものや、 「 『売却後もそのまま住み続けられる』 と説明されて契約したが、 家賃が値上げされて支払えなくなった」 といったケースもみられる。 消費者が不動産業者に自宅を売却する場合、 宅地建物取り引き業法に定めるクーリング・オフが適用されないため、 売買契約の成立後は無条件での契約解除ができなくなり、 ほとんどの場合に契約条項に基づく違約金が発生する。 「住み続けられる」 を理由にリースバック契約しても、 契約後の更新時などに家賃が高額になる可能性もある。 特に高齢者の場合は 「終のすみかを失いかねない深刻なトラブル」 として、 国民生活センターは注意を呼びかけている。(原田恵理)