消費者法制度のパラダイムシフトで報告書
誰もが持つ「脆弱性」を基礎に
消契法中心に抜本的に再編・拡充を
内閣府消費者委員会は7月9日、 消費者法制度のパラダイムシフトに関する報告書をまとめ、 答申した。 従来の情報・交渉力の格差を埋めれば自由な意思決定ができるとする捉え方に限界がきているとして、 消費者であれば誰もが多様な脆弱性を有するという認識を消費者法制度の基礎に置き、 消費者契約法を中心に消費者法制度を抜本的に再編・拡充することを提言した。 強い個人をモデルとする旧態法的な考え方からの転換をうたった。 金銭のみではなく、 情報や時間、 アテンションも消費者取引とし、 契約締結過程と契約内容のみでなく履行・継続・終了など取引の全過程を対象に、 契約取消権に限らず損害賠償制度等を柔軟に活用することを求めた。 考え方の土台を示したとしており、 民事ルール、 行政規制、 刑事規制、 ソフトローなど様々な規律手法を組み合わせて実効性の高い消費者法制度とすることを求めた。 具体的な制度設計は見えないままで、 消費者庁の今後の検討が急がれる。(相川優子)
大臣賞にロッテ・長官賞2団体
消費者教育教材資料表彰2025
公益財団法人消費者教育支援センターは6月 27 日、 「消費者教育教材資料表彰 2025」 の授賞式を開催した。 同表彰は、 消費者教育の充実と発展に寄与することを目的に、 教育現場で役立つ優秀な教材を表彰するもので、 1997 年度から実施されている。 今年度の優秀賞には行政部門に臼杵市消費生活センターなどによる6教材、 企業・業界団体部門には一般社団法人ハッシャダイソーシャルなどによる8教材、 消費者団体・NPO 部門では公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会などによる5教材が選出された。 また、 昨年度の優秀賞 20 教材を実際に授業で使用して評価し、 受賞作を選考する内閣府特命担当大臣賞など4賞の表彰も行われた。 内閣府特命担当大臣賞には㈱ロッテの 「あなたの 『選ぶ』 から創るしあわせな未来」 が選出され、 伊東良孝消費者担当相から表彰状が授与された。 消費者庁長官賞には東京都消費生活総合センターの 「ちえとまなぶのず~と役に立つお金の話~キャッシュレス決済に挑戦してみよう~」 と中央労働金庫の 「新・大人社会へのパスポート4 つけこまれる人・つけこむ人~知らないと怖い!実は身近な消費者トラブル3選~」 の2教材、 消費者教育支援センター理事長賞には野村ホールディングス㈱の 「社会のしくみとお金の役割-デジタル図鑑-」 にそれぞれ表彰状が手渡された。(原田恵理)
高齢者のスマホ使用、日常に
ACAP高齢者対応研究会2024年度成果報告
公益社団法人消費者関連専門家会議 (ACAP) は6月、 ACAP 研究所 「消費者対応部門における高齢者対応研究会 (高齢者対応研)」 の 2024 年度の研究成果を報告した。 高齢者の日常の消費生活を調査するために行われたアンケートの結果では、 買い物に出かけ、 商品を選び、 店員と会話することを 「楽しい」 と感じる高齢者が一定数いることが明らかになった。 60 歳以上の人を対象に、 パソコンやスマートフォンの利用状況について尋ねた問いでは、 全体で約 62%、 男性で約 77%、 女性で約 44%の人が 「パソコンを使用している」 と回答した。 スマホでは全体で約 80%、 男性で約 83%、 女性で 76%の人が 「使用している」 と回答した。 特に 60~74 歳では9割以上の人が使用していて、 スマホが日常のコミュニケーションツールとして定着してきていることが分かった。(原田恵理)